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冬に飛ぶ蛾「フユシャク」

こんにちは。講師の五十嵐です。もう、すっかり冬ですね。
冬というと思い浮かぶ昆虫があまりいないのではないでしょうか?
しかし、冬でも積極的に活動し繁殖を行う昆虫もいます。雪の上を歩くことで知られるセッケイカワゲラや冬にしか成虫が現れないフユシャクといった昆虫が有名です。今回はフユシャクについて紹介をします。


☆ フユシャクについて
フユシャクはその名の通り「冬の尺蛾(しゃくが)」という意味で、幼虫が尺を取って歩くシャクガの仲間です。冬に成虫が出るシャクガの仲間はフユシャク亜科、エダシャク亜科、ナミシャク亜科の3つのグループにまたがっていて、これらをまとめてフユシャクと呼びます。フユシャクは春から初夏にかけては幼虫で過すごし、樹木の葉を食べて成長します。夏になると樹木からおりて土の中で蛹さなぎになります。そして、秋の終わりから早春にかけて成虫が出てきます。


☆ フユシャクの食べ物

普通、ガの成虫はチョウと同じようにストローの口を持っていて、花の蜜みつなどを食べます。しかし、冬は花もほとんど見当たりません。ではフユシャクの成虫は一体何を食べているのでしょうか?
答えは何も食べません。フユシャクの口は退化して小さくなったり、なくなったりしているため、エサを食べることができなくなってしまっています。これはエサが腹の中にあると凍りやすくなるので、それを防ぐためだと考えられています。


☆ フユシャクの飛行
フユシャクのオスは薄翅を持ちひらひらと飛ぶことができます。一方、メスは翅が退化していて、空を飛ぶことができません。これは第一に、翅を持つことで表面積が大きくなって体温を奪うばわれることを防ぐためと言われています。みなさんも寒い日には体を縮ちぢめて少しでもあったまろうとしますよね。それと同じように、寒い空気に当たる部分を少なくしているのだと言われています。


☆ フユシャクはなぜ冬に現れる?
一説として、天敵から逃れるためと言われています。例えば、春から夏にかけては子育て中の鳥類に捕まえられる可能性がありますし、夏から秋はカマキリやクモなどに捕食される可能性もあります。しかし、冬はそういった天敵も少なくなり、他の季節よりも安全に繁殖することができます。そこで、天敵の発生する時期からずれていく内に次第しだいに現在の生活サイクルになったと考えられています。

[2012-12-04]

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