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勉強したことを忘れなくなる最強の学習習慣


「復習+○○」で “1週間77%の忘却率” を下げられる!?


しっかり頭に詰め込んだはずなのに、肝心なときにいつも思い出せない……。

そんなあなたには「小テストによる繰り返しの復習」+「ニューロン新生活動」の最強コンビを紹介しましょう。さまざまな研究に基づいて説明します。

 

◎ 忘れないために「思い出す」

ドイツの心理学者 ヘルマン・エビングハウスは時間の経過と記憶を調査し、1日で74%、1週間で77%忘れてしまうと示したそうです。しかし、2度目、3度目と同じ内容を被験者に覚えてもらうと、前回よりたくさん覚え、記憶テストの成績も上がったとのこと(「FASHION BOX」内、医学博士の柿木隆介氏解説より)。

ここで注目すべきは、思い出そうとするプロセスです。認知心理学者であるアメリカ・ワシントン大学教授のヘンリー・ロディガー氏とパデュー大学教授のジェフリー・カーピキ氏が行なった、2006年(Psychological Science)と2008年(Science)発表の研究では、繰り返しの学習よりも「繰り返しテスト(思い出すこと)」を行なうほうが、長期記憶に定着しやすいと示されています。これをテスト効果と呼ぶのだとか。

「繰り返しテスト」条件の被験者は、テキストを読んだ回数が最も少ないにもかかわらず、記憶が定着していたとのこと(参考:各研究論文概要と「現代ビジネス」内、立教大学准教授の中田達也氏解説)。

 

 

◎ 忘れないための「新生ニューロン」

また、1998年11月にスウェーデンの神経科学者であったピーター・エリクソン氏と、ソーク生物学研究所のフレッド・ゲージ氏らは、記憶をつかさどる脳の海馬において大人の脳内でもニューロン(神経細胞)が生まれていると発表しました。この海馬新生ニューロンは、記憶形成の過程に関与するとのこと。

そして、学術雑誌『Neuron』の2005年9月15日号に掲載された東京大学の研究では、学習時に現れる脳回路活動の「シータ波」が海馬に伝わると、海馬新生ニューロンの分化が促進されるとわかりました。それにより、最終的には新生ニューロンの数が増加するそうです。

ちなみに、2018年10月12日にオンライン公開されたカリフォルニア大学デービス校、ケンブリッジ大学などの共同研究では、シータ波の活動とエピソード記憶検索の直接的な関連が示されています。エピソード記憶検索とは、体験で得た記憶のなかから目的の情報を探して取り出すこと。これにより思い出すことができます。

 

◎ 忘れないための「レム睡眠」

さらに最近では、筑波大学と東京大学の共同研究チームが興味深い発見をしました。大人の脳内で再生する海馬新生ニューロンが、「レム睡眠中(※)」に記憶を定着させる働きを明らかにしたそうです(※夢を見やすい期間)。

恐怖体験をしたマウスが眠った際の、新生ニューロンの活動を観察したところ、怖い体験をしたときに活動していた新生ニューロンが、レム睡眠中に再活動していたのだとか。

新生ニューロンは2か月ほどで完全に成長するそうですが、生まれたて、あるいは成長しきった新生ニューロンでは同じ現象が起こらなかったとのこと。成長途上であることがポイントです(2020年8月5日付の学術雑誌『Neuron』に掲載)。

 

記憶力を高める「復習+ニューロン新生活動」とは?

これまでの内容から、記憶力の向上には「復習としてのテストで想起を繰り返すこと・成長途上の海馬新生ニューロン・脳回路活動のシータ波・レム睡眠」が大切だとわかりました。

だからこそ、「小テストによる復習」+「ニューロン新生活動」が最強コンビになるわけです。その具体的な方法やポイントを説明します。

 

1. 小テストによる復習

中室牧子研究室(慶應義塾大学中室牧子ゼミナール)によると、アメリカの大学で行なわれた実験では、授業の最初に小テストを受けるほうが、最後に受けるよりも勉強時間を増やし、テストの点数も高くなるとわかったそうです。日本で行なわれた実験でも同様の結果が出たとのこと。

ならば、「前回学んだことを、次の勉強前に軽くテストする習慣」を身につけてはいかがでしょう。小テストのために勉強の機会が増え、学習時にシータ波が海馬に伝わり、結果として新生ニューロンが増え、必然的に次回テストまでのあいだに睡眠が入るので、夢を見ながらレム睡眠中に記憶を定着させられます。さらに小テストで思い出そうとするプロセスが、より記憶を強化するはず。

 

2. ニューロン新生活動

加えて、海馬新生ニューロンを増やすさまざまな活動を、学習以外でも取り入れておきましょう。神経科学者のサンドリン・チュレ氏は、2015年にTEDで神経新生を促進するものとして以下を挙げています。

フラボノイドの摂取(ダークチョコレートや ブルーベリーなど)レスベラトロール(赤ワインなど)オメガ3脂肪酸(サーモンなど魚油の多い魚)20~30%のカロリー制限断続的な絶食(食事間隔を空ける)

逆に、神経新生を阻害するものは以下のとおりです。

飽和脂肪の多い食事アルコール摂取(赤ワインは例外)柔らかい食べ物ストレス睡眠不足

よろしければ参考にしてくださいね。

 

今回は「小テストによる復習+ニューロン新生活動」を紹介しました。これで忘却率をグンと下げられるかも……!


ノーバスでは、授業含め、各教科ごとに生徒に合った勉強法を講師陣がアドバイスしています。

 

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[2021-12-08]

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